はじめに

2007年4月、美祢社会復帰促進センターは、我が国初のPFI手法を活用した官民協働の刑務所として発足しました。当センターの整備はPFI事業者によって行われ、運営の一部も委託されています。民間事業者のアイデアやノウハウを活用しつつ、国とPFI事業者が協力して刑務所運営を行うことにより、相互の持ち味を活かして、より効率的かつ効果的な新たな矯正処遇等を行うこととしています。このような取組によって、受刑者の改善更生と再犯防止を実現し、もって国民の安全・安心な生活を確保したいと考えています。

国民に理解され、支えられる刑務所

犯罪情勢の悪化等に伴う刑事施設の過剰収容、これに起因する処遇環境の悪化や刑事施設職員の過重負担を緩和するため、我が国初の官民協働により運営する新たな刑務所「美祢社会復帰促進センター」が、山口県美祢市に誕生しました。当センターは、「国民に理解され、支えられる刑務所」という理念の下、国民・地域との共生による運営を行っていきます。また、多様で柔軟な処遇が可能であり、可塑性に富んだ初犯受刑者を収容して、徹底した矯正処遇等を実施し、早期に社会復帰できるよう「人材の再生」を図ります。

我が国初のPFI手法による官民協働の刑務所

PFIとは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金やノウハウを活用して行う手法のことで、本PFI事業はBOT方式により行われ、事業期間は20年間(2025年3月末まで)、本事業のために設立された民間事業者であるSPCが業務を実施します。 民間に委ねる業務の範囲は、施設の設計・建設のみならず、構造改革特区制度を活用することで、これまで民間委託できなかった施設の警備、収容監視、職業訓練や健康診断等が委託可能となり、官と民が協働で運営を実施することとなっています。

当センターは、すべての業務を民間が運営する「民間刑務所」とは異なり、国職員と民間職員が協働して運営する「混合運営施設」です。サービスの提供主体は国であって、刑務所管理に伴う行政責任については、国がすべて負うこととなります。

■PFI (Private Finance Initiative)

公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、 経営能力及び技術的能力を活用して行う手法。

■BOT (Build Operate Transfer)

民間事業者が施設等を建設し、維持・管理及び運営し、事業終了後に公共施設等の管理者等に施設所有権を移転する事業方式。

■SPC (Special Purpose Company)

PFI事業を行うために設立された「特別目的会社」のこと。事業の収益力を担保に融資を受けるプロジェクト・ファイナンスという方法で、建設資金等の一部を金融機関から借り入れて事業を行う。